・落とし穴
こんばんわ。元気？
ああ、あんたね。元気じゃなかさ。
どうしたの。
いや、もう、仕事もほどほどにしたか。
私に言わせてもらえば、仕事があるなんてうらやましい。
ばってん、あんたには自由があるたい。
金と自由は一緒にならないのが庶民だわね。
まったくね。で、どうかしたと？
うん。膀胱炎になってしまったのよ。
あらあ。困ったね。そういえば、風邪をひきやすくなったとか言うとらんかったね？
そうだったのよ。暖冬なのにね。
実はね、あんたの話ばこれまで聞いとって、チラと思ったことなんやけど……。
何？
あんたの食事の内容がどうも蛋白質不足、特に動物性蛋白質が極端に少なかごたっと。だから、体力不足になって風邪をひきやすくなったんじゃなかろか。
実はねえ。私自身、食事の絶対量が少ないんじゃないかなあって感じていた所なのよ。
野菜はしっかり食べとるのはわかっとったとさ。大豆製品とかもせっせと摂っとる。だけど、動物性蛋白も少しは必要さ。
そうだわよね。
ほら、昭和２０年代まで結核患者が国民病と言われとったやろ。あの頃の食事が蛋白質の不足が原因のひとつやったやかね。
そうだよね。
もちろん、あんたはは仕事に出とらんから、消費カロリーはさほど要らんから何とかこれまで持ったとさ。
近所のお医者さんに抗生物質を処方してもらったけど、効き目があんまりよくなかった。これも体力不足が足を引っ張ったのかもしれないわね。
どのくらいの量、服用したと？
１日300ｍｇを５日間というごく一般的な処方量。でも、これでも菌は一掃できなくて不快感も変わらなかったんで、合計７日間飲んだわ。
そいで、どうなったと？
暖かくなってすっきりしたと喜んだのに、雨が降って気温が下がると逆戻り。いつもの内科のドクターから抗菌剤を持っていないさいといわれて、またそれを５日間飲んだわ。でも、劇的効果とはいかないの。
そげん、すぐには効かんさ。抗生物質の投与量とか、効き方は個人差があるし、あんまり長く服用すると耐性菌ができるけんね。やっぱり体力ばつけんば。
私さ、コレステロール値が高めなんでそればっかり気をつけていたのよ。それと、埃や花粉アレルギーがあるから、なおさら植物性蛋白質に絞ったのよ。
なるほど。
落とし穴だわね。
あんた、胃が弱いからあんまり食べられんからねえ。私はあんたと反対で、食べたものは即体脂肪になるみたいでさあ。これもつらいもんがありまっせ。
私にして見れば、胃が丈夫なのはうらやましい。
あんたも昔は小太りでさあ。長生きすること請け合いって感じやったのにねえ。
ほんと。あの頃に比べると今は10ｋｇ以上痩せているからなあ。ちょっと食べると胃がおかしくなる。学生時代なんか、アップルパイ２つぐらい平気だったのにさあ。
つまりさ、加齢といういことさ。
寛解を迎えても、その先にまたいろいろトラブルが起こるだろうとは思ったけど、実際その通りになったわ。
しかし、五十代も半ば過ぎれば、誰でもどこかに故障が起こると。
私の場合は、見かけは五十代でもリンパ節を取ってしまったから、血流不足とかそういうことも影響してるのかな。
まあね。でも、それほどじゃなかろうと思うよ。やっぱり食が第一さ。
そうだわね。ま、これをいい教訓として、食生活を見直すわ。
そうだね。
うーん。だけど、バランスよくというのは難しいもんだわ。
まーったく。同感でーす。
じゃあ、またね。
おやすみ。